日本の奨学金制度は、大きく分けて日本人向けと外国人向けの2種類があります。
奨学金制度の実態とは
国費外国人留学生とは、国費外国人留学制度を利用し、日本の大学に通う留学生のことです。国費外国人留学制度は、文部科学省が昭和29年に創設した制度で、「日本との『友好親善』に尽くす人材を育てる」目的で作られました。毎年約9000人もの外国人が国費留学生に選ばれ、この政策で年間185億円以上の国費が投入されています。
以下の7つのプログラムで構成されています。
- 研究留学生(昭和29年度創設、国費留学生の約8割)
- 教員研修留学生(昭和55年度創設)
- ヤング・リーダー・プログラム(YLP)留学生(平成13年度創設)
- 学部留学生(昭和29年度創設)
- 日本語・日本文化研修留学生(昭和54年度創設)
- 高等専門学校留学生(昭和57年度創設)
- 専修学校留学生(昭和57年度創設)
入学金・学校の授業料は文部科学省が全額負担をしてくれるので、無料です。その上、奨学金(生活費)が月額117,000円~145,000円支給されます。貸与ではなく給付なので、返済の必要がありません。さらに、渡航旅費も往復航空券が支給されるなど、異常な待遇と言えるでしょう。
研究留学生 | 学部留学生 | |
---|---|---|
大使館推薦 | 〇 | 〇 |
大学推薦 | 〇 | ✕ |
レベル | 大学院レベル | 学部レベル |
期 間 | 日本語教育を含め 1年6ヶ月以上 |
日本語教育を含め5年間 (医・歯・薬・獣医:7年間) |
日本語予備教育 | 半年 (日本語能力十分な者は直接入学) |
1年 (東京外国語大学、大阪大学) |
専門教育 | 大学院で専門分野を専攻 | 学部教育を受ける |
奨学金(生活費) | 月額143,000~145,000円 | 月額117,000円 |
授業料 | 文部科学省負担 | 文部科学省負担 |
渡航旅費 | 往復渡航費(航空券)支給 | 往復渡航費(航空券)支給 |
日本人以外にこんなに国費が使われている
ある国費外国人留学生の一例
奨学金 | 月額142,500円 | 年間1,710,000円 |
---|---|---|
授業料 | 国立大学:全額免除 公立・私立大学:文部科学省負担 |
国公立:年間約540,000円 私立:年間約1,000,000円 |
渡航旅費 | 航空券支給(全額) | |
帰国旅費 | 航空券支給(全額) | 所定期日あり |
合計額は年間225万円~270万円、4年制大学の場合だと約1000万円前後となります。日本へ来る旅費も支給してもらえて、そしてなぜか、学費がかからないのに奨学金という名の生活費ももらえる。その上、このお金は返還不要だというのです。
「こんな優遇どういうこと?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日本のために日本人が納めた税金が、日本人のために使われるのであればまだしも、国費外国人留学生のために使われる。日本の将来を担う、日本人の子どもたちには借金を背負わせておきながら、外国人には優遇するとはいかがなものでしょう。国費外国人留学生は、日本にとって、日本人の若者たちよりも重宝する存在なのでしょうか。
日本人子弟向けの奨学金の実態
では、日本人向けの奨学金制度はどういうものなのでしょうか。
現在、学生の5割が奨学金を利用しています。2005年には4人に1人が利用していたのに対し、2017年には1.5倍も増加しており、平均所得が下がり続けていることが背景にあるとされています。日本国内における奨学金制度は様々ありますが、ほとんどの人が日本学生支援機構(旧:日本育英会)の制度を利用していることでしょう。
大きく分けて3つあります。
- 給付奨学金(返済不要)
- 貸与奨学金(返済必要)
- 海外留学のための貸与奨学金(返済必要)
多くの方は「貸与奨学金」を利用されています。
2018年から本格的に導入されている給付型奨学金は、「返済が必要ない」ことから、対象者が住民税非課税世帯などの低所得の家庭限定で、希望者が全員受け取れるわけではありません。ですので、大学生の2.7人に1人が貸与奨学金を利用しています。
貸与奨学金には、「第一種(利子なし)」と「第二種(利子あり)」に区別され、無利息である第一種は審査が厳しく、世帯年収上限と学校の成績によって決まります。
利子がついたとしても、民間の教育ローンに比べ、非常に低金利です。所得が少なく返済が苦しい場合は「減額返還」や「返還期限猶予」を利用することもできます。学ぶ意欲がある学生にとって、素晴らしい制度だと感じるかもしれませんが、「返済能力のない学生が大金を借りている」ということを忘れてはいけません。借りれたとしても、卒業後に返済できないという理由から、進学そのものを諦めてしまう人もたくさんいます。
卒業後の返済が若者を苦しめる
労働者社会福祉中央協議会が2018年に行った「奨学金や教育負担に関するアンケート調査」によると、奨学金借入総額の平均は324.3万円、月々の返済額は平均1.7万円で、返済期間は平均14.7年。大学を22歳で卒業した場合、年間20万円以上の返済が36歳まで続くという計算になります。
低金利の借金だとはいえ、その「奨学金」という名の学生ローンを抱えたまま社会人をスタートすることは、精神的にも金銭的にも辛いものとなるでしょう。実際に、卒業後に就職するものの奨学金が返済できず、自己破産申請をせざるを得ない「奨学金破産」となるケースも増えており、社会問題にもなっています。
国費外国人留学生には返済なし+生活費付きで給付、日本人には利子も付けて延々と返済、この矛盾に、誰も声をあげないのはなぜでしょうか。
参考:労働者社会福祉中央協議会「奨学金や教育負担に関するアンケート調査」より
国費外国人留学制度の目的は果たされているのか
そもそも、「日本との『友好親善』に尽くす人材を育てる」目的で作られた国費外国人留学制度。
日本だけでなく、諸外国でも当たり前なのかと思いきや、そうではありません。ほとんどの国が、自国民の学生よりも外国人留学生の授業料を数倍高く設定しています。留学生は留学元の国が支援するのが普通という考えだからです。日本のように、国費外国人留学生を自国生よりも優遇する国はありません。しかも、日本人受験生は国公立大学を最大3校(前期・中期・後期)までしか受験できませんが、国費外国人留学生は日程が決まっていないという理由で、国公立大学をたくさん受験することができるのです。
国籍 | 自国民の 授業料 |
留学生の 授業料 |
---|---|---|
日本 | 約54万円 | 無料(国費留学生) |
オーストラリア | 約45万円 | 約130万円 |
カナダ | 約36万円 | 約95万円 |
イギリス | 約22万円 | 約170万円 |
教育への公的支出は先進国38カ国中、37位
日本の教育への公的支出は、先進国平均4.1%を下回る2.9%です。世界181カ国で見ると、2019年に日本は135位。この2.9%の公的支出の中に、国費外国人留学制度の資金も入っているのです。
国防問題にも発展
国費外国人留学生が日本の技術を持ち帰り、軍事転用したという例も実際にあります。日本の税金で手厚いもてなしをし、流出してしまった技術によって日本の安全が脅かされるなどあってはならないことではないでしょうか。こうしている今も、どんどん日本の素晴らしい技術は盗まれていっているのです。
2008年4月に起きた長野オリンピックでの中国人留学生の集結に驚いた方も多いと思います。その後出来た中国の国防動員法により、今後大きな問題に発展することもあるのではないでしょうか。根深い国費外国人留学生制度の見直しは緊急課題ではないのでしょうか。
本当にこのままでいいのでしょうか?
日本の未来のために今、声を
制度が発足され、67年が過ぎた今、このまま制度を見過ごすわけにはいきません。
中国と韓国の留学生に「日本に好感が持てるか」と質問したところ、「好感が持てる」と答えたのは30%程度。これで、文部科学省は「効果がある」と胸を張って言えるのでしょうか。
そもそも、国費外国人留学生を優遇して卒業させた後、その学生が祖国に帰って日本のために何かしてくれるのでしょうか。2017年度参院決算委員会の資料によると、国費外国人留学制度を利用した学生たちは、祖国には帰らず、日本国内に残って就職する例も多く、帰国者は半数に留まっているようです。それはつまり、日本人の大学生の就職活動でのライバルになってしまうということにも繋がります。
本来国費は、国益を考え「日本人」に使うものではないでしょうか。
若者たちのミライのために
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